相続・贈与の基本2026 ——「7年内加算」改正後の整理
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INVEST · 情報基準日 2026-06-06 · 約3,500字 · 約8分
マイル:「相続って親の話だと思ってたけど、贈与は自分にも関係ありそう。」
ポルト:「両方とも、知らないうちに損する代表格じゃ。特に2024年の改正で、生前贈与の『3年内加算』が『7年内加算』になった。知らずに動くと、当初の予定よりだいぶ税が乗ってくる。」
執事H:「相続税の基礎控除、贈与税の暦年110万円、相続時精算課税、そして2024年改正の三点を国税庁公式情報をもとに整理します。」
まず結論
相続・贈与で押さえる点は、次の3つです。
- 相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数。これを超えた部分に課税(10〜55%の累進)。
- 贈与税は暦年課税(年110万円控除)と相続時精算課税(2024年改正で別途110万円基礎控除新設)の2系統。
- 2024年1月1日以降の暦年贈与は、相続前『7年内』(旧3年内)の分が相続税に加算。経過措置で4〜7年前分は合計から100万円控除。
以下、国税庁公式情報をもとに整理します。
1. 相続税の基礎控除 ——「3,000万+600万×人数」を超えるかが分岐
相続税の課税対象となるかは、まず基礎控除額の判定から始まります。
計算式
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例
- 配偶者+子2人(法定相続人3人): 3,000万円 + 600万円×3 = 4,800万円
- 配偶者+子1人(法定相続人2人): 3,000万円 + 600万円×2 = 4,200万円
- 子2人のみ(法定相続人2人): 3,000万円 + 600万円×2 = 4,200万円
各人の課税価格の合計額がこの金額以下なら、原則として相続税の申告は不要とされています。
養子の扱い
法定相続人の数に含める養子の数には制限があり、実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までとされています(国税庁)。
執事H:「『うちは関係ない』と思っていても、不動産価格の上昇や生命保険の死亡保険金で意外と超えるケースがあります。」
2. 相続税の税率 ——10%〜55%の累進
基礎控除を超えた課税遺産総額に対して、法定相続分に応ずる取得金額ごとに次のような税率が適用されます(国税庁 No.4155)。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 0 |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
具体的な計算は、遺産分割や各種控除(配偶者の税額軽減等)で大きく変わるため、税理士のシミュレーションを推奨します。
3. 贈与税の基本 ——暦年課税と相続時精算課税の2系統
贈与税は次の2つの方式から選択します。
A: 暦年課税(原則)
- 1月1日〜12月31日の1年間に受けた贈与額の合計から110万円を控除
- 残額に税率を適用(超過累進)
- 1人の受贈者が複数人から受けた贈与額の合計で計算
- その年の贈与の合計が110万円以下なら、暦年課税では通常、贈与税はかからず申告も不要とされています(国税庁No.4402)。ただし特例の適用を受ける場合や相続時精算課税を選択している場合は別途確認が必要です
B: 相続時精算課税
- 60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用可能
- 一度選択すると、その贈与者からの贈与は以後すべて精算課税に固定(暦年に戻れない)
- 特別控除の累計2,500万円までは贈与時の贈与税がかからず、超えた分は一律20%(国税庁No.4103)。これは「無税で贈与できる」という意味ではなく、贈与者の相続時に相続財産へ加算して精算する仕組みです
- 2024年改正で別途 年110万円の基礎控除が新設(令和6年1月1日以後の贈与)
- 贈与者の相続発生時に、過去の贈与財産を相続財産に合算して相続税を計算(既に納めた精算課税の贈与税相当額は控除)
マイル:「相続時精算課税って『得そう』だけど、複雑そう……。」
ポルト:「『戻れない』のが最大の特徴じゃ。いったん選んだら一生固定。安易に選ぶと選択肢を狭めることになる。税理士と相談してからじゃ。」
4. 【重要】2024年改正: 相続前「7年内」加算
ここがこの記事のいちばん重要な改正です。
改正前(2023年12月まで)
- 相続開始前3年内の暦年贈与を相続税の課税価格に加算
改正後(2024年1月1日以降の贈与から)
- 相続開始前7年内の暦年贈与を相続税の課税価格に加算(国税庁 No.4161)
- ただし、4〜7年前の贈与については合計額から100万円を控除した残額を加算する経過措置
影響
- 「110万円ずつ毎年贈与して節税」という王道戦略の有効性が大きく下がった
- 「相続発生から7年も遡られる」=長期計画でも安全圏が縮小
- 若いうちから贈与を始める動機が強まった(70代で慌てて始めるとほぼ全額が加算対象)
経過措置の年次適用
国税庁No.4161によると、2024年(令和6年)1月1日以後の贈与から対象期間が段階的に延び、実質的に7年分がフルに加算対象となるのは2031年(令和13年)1月1日以後に相続が開始した場合とされています。それまでの相続では、相続開始日に応じて加算される期間が変わります。改正の影響を受けるタイミングは個別の状況で異なるため、具体的な判定は国税庁資料・税理士でご確認ください。
5. 相続・贈与の実務的なチェックポイント
最後に、実務上の確認ポイントを4つにまとめます。
1) 自分の家庭の「基礎控除額」を知っているか
家族構成から法定相続人を数え、基礎控除額を試算しておく。
2) 不動産・生命保険の評価額を把握しているか
路線価ベースの不動産評価額・保険会社からの死亡保険金見込みを確認。
3) 暦年贈与の戦略は「7年内加算」を踏まえているか
若いうちから少しずつ、または相続時精算課税の選択を検討。
4) 税理士・FPに相談したか
相続税は判断ミスで数百万〜数千万円の差が出る領域。自己流より専門家活用のコスパが圧倒的に高い。
まとめ
- 相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人。課税価格の合計が基礎控除を超える場合は相続税の申告が必要になる可能性がある(配偶者の税額軽減など、申告しないと使えない特例もある)。
- 税率は10%〜55%の累進(法定相続分に応ずる取得金額ごと)。
- 贈与税は**暦年(年110万円控除)と相続時精算課税(別途110万円控除を2024年新設)**の2系統。
- 2024年改正: 相続前『7年内』暦年贈与が加算(旧3年内→7年内・100万円控除の経過措置あり)。
- 不動産・保険・贈与戦略を含めた総合判断が必要。
- 数値・条件は改定される。判断前に必ず税理士・FPに相談。
「相続は親の話、贈与は自分の話」と思っていても、改正後の世界では若いうちから動かないと選択肢が狭まる領域です。
得する! 制度の使い方 最新版(参考ムック)
相続・贈与・税制の入門として、まず仕組みの全体像を押さえたい方に。本記事の補助資料として有用です。
参照(情報基準日 2026-06-06 / 国税庁)
- 国税庁 No.4152 相続税の計算
- 国税庁 No.4102 相続税がかかる場合
- 国税庁 No.4155 相続税の税率
- 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
- 国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
- 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
- 国税庁 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(令和5年6月)
数値・条件は改定されることがあります。判断前に必ず税理士・FP等の専門家にご相談ください。
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本記事は相続税・贈与税の基本(基礎控除・税率・暦年と精算課税)と2024年改正(7年内加算)を中心に整理しています。記載の控除額・税率・改正適用年は2026年6月6日時点で国税庁公式情報をもとに確認したものですが、税制は改定されることがあります。各種特例(配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例・住宅取得等資金の贈与等)の適用要件は本記事では扱っていません。具体的な税額計算・贈与戦略・申告手続きの判断前に、必ず税理士・FP等の専門家にご相談ください。本記事は情報整理であり、特定の節税スキームを勧めるものではありません。
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