海外で犯罪被害に遭ったときの初動マニュアル ——警察・大使館・保険会社の連絡順
TRAVEL · 情報基準日 2026-05-23 · 約4,100字
本記事は執筆時点(2026年6月)の一般的な情報整理です。犯罪・医療・保険・法規制に関する個別の判断は、外務省海外安全ホームページ、各国大使館・領事館、加入中の保険会社、現地警察、医療機関、専門家に必ずご相談ください。
海外で犯罪被害に遭った瞬間に頭に浮かぶのは「どこに連絡すればいいんだっけ」という問いです。本記事では、外務省海外安全ホームページや在外公館の案内、保険会社の請求実務を踏まえ、時系列での動き方を整理します。「順番」を頭に入れておくだけで、現地での判断時間を大きく短縮できます。
全体の動き(優先順位)
被害発生直後の動き方は、概ね次の順序が共通します。
| 順位 | 動き | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 安全確保 | 自分の身を物理的に守る |
| 2 | 医療(必要時) | 怪我・体調変化の処置 |
| 3 | 警察へ届出 | ポリスレポート取得 |
| 4 | カード会社へ連絡 | 不正利用停止 |
| 5 | 保険会社へ連絡 | 請求準備・キャッシュレス受診手配 |
| 6 | 在外公館へ連絡 | パスポート紛失時・重大被害時 |
基本は「安全確保→医療→警察→カード/保険/在外公館」の流れですが、これは固定の正解ではなく、被害の内容によって優先順位は変わります。たとえば、怪我があれば医療(と保険会社の24時間窓口)を最優先に、パスポート紛失なら在外公館を、カードの盗難・不正利用ならカード会社を真っ先に動かすのが合理的です。何を先にするかは「いま一番損害が広がりやすいもの」から、と考えると判断しやすくなります。
ステップ1: 安全確保
被害現場で犯人を追わない、人混みのある場所へ移動する、座って状況を整理する——これが最初です。冷静さを取り戻す数分が、その後の動きの質を決めます。
ステップ2: 医療(必要時)
怪我・体調変化がある場合は、ためらわず救急番号に通報します。
救急番号について: 以下は代表的な例です。国・地域によって警察・救急・消防の番号が分かれている場合があり、変更されることもあります。渡航前に外務省海外安全ホームページ・在外公館・宿泊先で最新の番号を必ず確認してください。
| 国 | 救急 |
|---|---|
| 米国 | 911 |
| EU加盟国 | 112 |
| 英国 | 999 |
| タイ | 1669 |
| ベトナム | 115 |
| インドネシア | 119 |
加入中の海外旅行保険にキャッシュレス受診サービスがあれば、保険会社の24時間窓口に連絡する選択肢もあります(後述)。
ステップ3: 警察へ届出(ポリスレポート)
盗難・強盗などの犯罪被害で保険金を請求する場合、「ポリスレポート(被害届の受理証明)」の提出を求められることが多くあります。ただし必要な書類は補償項目・保険商品によって異なるため、加入中の保険の約款やサポートデスクで確認してください。被害に遭ったら、警察への届出は早めに行っておくと後の手続きがスムーズです。
持っていくもの
- パスポート(またはコピー)
- 被害品リスト(品目・購入時期・金額の控え)
- 写真・動画(被害現場の状況)
- 現地語が話せる同行者(可能なら)
ポリスレポートで確認すべき項目
- 受理番号(レポート番号)
- 受理日付
- 被害品リストが記載されているか
- 警察官の署名
詳しくは「ポリスレポート(被害届)の取り方と注意点」をご覧ください。
ステップ4: カード会社へ連絡
カード被害がある場合、カード会社に即連絡し、利用停止と再発行手続きを始めます。多くのカードに24時間日本語対応の海外緊急デスクがあります。
連絡時に伝えること
- カード番号(または控えた番号)
- 被害状況(日時・場所・概要)
- 最終利用日時
- 当面の連絡先(滞在ホテル)
よくあるつまずき
- カード番号がわからない→事前にカードの裏面の緊急連絡先と番号下4桁をメモ
- 国際電話のかけ方がわからない→ホテルフロントに代行を依頼
ステップ5: 保険会社へ連絡
保険会社の海外サポートデスク(24時間)に連絡し、被害状況を伝えます。請求書類の準備が始まります。
伝えること
- 証券番号(加入時に発行)
- 被害日時・場所・概要
- 警察への届出状況(ポリスレポート番号)
- 現在地・連絡先
24時間サポートが提供しうるもの
- 医療機関の手配(キャッシュレス受診)
- 通訳サポート
- 弁護士・現地手続きの案内
- 帰国便の再手配相談
ステップ6: 在外公館へ連絡
パスポート紛失・重大被害・現地で身動きが取れない場合は、在外公館(大使館・総領事館)に連絡します。
在外公館ができること(目安)
- パスポート再発給・帰国のための渡航書発給
- 医療機関・弁護士の情報提供
- 家族への連絡仲介(緊急時)
- 邦人保護一般
在外公館ができないこと(目安)
- 宿泊費・入院/治療費・航空券代など個人的費用の立替や支払い保証
- 警察捜査への介入
- 通訳の常時派遣
ただし、所持金をすべて失って当面の生活も連絡もできないなど緊急やむを得ないと判断された場合には、在外公館が直接または外務省を通じて親族・知人への送金や航空券手配の依頼を仲介したり、帰国のための援護(渡航書の発給など)を行う場合があります。こうした例外的な援護制度の有無・条件は、状況によって変わるため在外公館に確認してください。
「できること・できないこと」の線引きは「大使館・領事館の使い方と限界」記事をご覧ください。
言葉が通じない場面での動き方
| 場面 | 動き |
|---|---|
| 警察署で説明 | 英語+翻訳アプリ+被害品リスト(紙) |
| 病院で症状を伝える | 翻訳アプリ+ボディランゲージ+紙メモ |
| カード会社へ国際電話 | 日本語デスクを最初から呼び出す |
| ホテルで動けない | フロントに「Embassy please.」 |
紙メモには「自分の名前・国籍・パスポート番号・滞在ホテル・連絡先・血液型(任意)・常用薬」を渡航前に書いておくと、緊急時の説明がスムーズです。
24時間以内・1週間以内・帰国後
| 時間軸 | アクション |
|---|---|
| 直後〜24時間 | 安全確保・医療・警察届出・カード停止・保険会社連絡 |
| 24時間〜1週間 | 在外公館手続き・代替パスポート・帰国便再手配 |
| 帰国後 | 保険金請求書類提出・銀行/カード再発行・補完届出 |
帰国後の補完手続きは「帰国後の補完手続き」記事をご覧ください。
渡航前に揃えておくと初動が速い
- パスポート・カードのコピー(別所保管)
- 海外旅行保険証券のコピーと24時間サポート連絡先
- カード会社の緊急連絡先
- 滞在国の在外公館の連絡先
- たびレジ登録(外務省)
- 救急番号のメモ
まとめ
被害発生時の初動は、「安全→医療→警察→カード→保険→在外公館」の順番を頭に入れておくのが要点です。順番がわかっているだけで、混乱の中でも次の一手が決まります。準備すれば、リスクは下げられる。万が一巻き込まれても、対処の手順があります。
本記事は2026年6月時点の一般的な情報整理です。具体的な対処は、外務省海外安全ホームページ、在外公館、加入中の保険会社、現地警察、医療機関、専門家に必ずご相談ください。
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