自営業・フリーランスのiDeCo ——月6.8万円の枠と2026年12月の引き上げ・小規模企業共済との使い分け
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INVEST · 情報基準日 2026-06-12 · 約4,700字 · 約10分
自営業・フリーランス(国民年金の第1号被保険者)にとって、iDeCoは会社員とはまったく重みが違う制度です。
理由は2つ。①老後の土台が国民年金しかない(厚生年金の2階部分がない)、②その代わり、iDeCoの枠が月68,000円と会社員の約3倍用意されている——つまり「2階は自分で作れ、そのための枠は大きく渡す」という設計になっているからです。
さらにいまは見逃せないタイミングです。2026年12月施行の制度改正で、この枠が月75,000円へ引き上げられる予定(引き落としベースでは2027年1月分から)。この記事は、自営業の老後資金の全体地図の中でiDeCoをどこに置くか、小規模企業共済や国民年金基金とどう使い分けるかを、一枚で判断できる状態にします。
※掛金上限・施行時期・税制は変更されることがあります。本記事は一般的な解説であり、個別の判断は公式情報・専門家でご確認ください。投資には元本割れの可能性があり、判断は自己責任でお願いします。
まず全体地図 ——自営業の「老後とお金」の道具箱
| 制度 | 月額の目安 | 所得控除 | 引き出し | 性格 |
|---|---|---|---|---|
| 国民年金 | (土台・全員) | ○ | 年金 | 1階部分 |
| 付加年金 | +400円 | ○ | 年金 | 小さく確実な上乗せ |
| 国民年金基金 | iDeCoと合算で68,000円 | ○ | 終身年金 | 確定額の2階 |
| iDeCo | 基金等と合算で68,000円 | ○(全額) | 60歳まで不可 | 自分で運用する2階 |
| 小規模企業共済 | 1,000〜70,000円(別枠) | ○(全額) | 廃業・退職時など | 退職金+貸付制度 |
| NISA | (年間投資枠) | ×(掛金控除なし) | いつでも可 | 流動性のある運用 |
最初に押さえるべき構造は2つです。
- iDeCo・国民年金基金・付加保険料は同じ枠(合算68,000円)を分け合う。付加年金と国民年金基金は併用不可
- 小規模企業共済はこの枠の外。iDeCoと両方満額なら、所得控除対象の積立を月138,000円分確保できる計算になります(2026年6月時点)
ポルト:「会社員の節税枠が小さな庭なら、自営業は広い更地を渡されておるのじゃ。ただし更地に何をどの順番で建てるかは自分で決めねばならん。それがこの記事の本題じゃよ。」
iDeCoの枠 ——いまは68,000円、2026年12月から75,000円へ
- 第1号被保険者のiDeCo拠出限度額は月68,000円(年816,000円)。掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になります
- 2026年12月1日施行の改正で、上限は月75,000円へ引き上げ予定(掛金引き落としでは2027年1月分から)。同時に加入可能年齢の引き上げも予定されています
- 所得控除の効きは課税所得次第です。たとえば所得税・住民税合わせて税率30%の人が月68,000円拠出すると、単純計算で年約24万円の税負担軽減になります(あくまで目安。実際の効果は所得・控除の状況で変わります)
見落としやすい注意 ——国民健康保険料は下がらない
iDeCoの掛金は所得税・住民税には効きますが、国民健康保険料の所得割の計算では、一般にiDeCo等の所得控除は反映されません(基礎控除のみを引いた所得で計算する自治体運用が一般的)。「掛金×税率」で見積もった節税額に国保料の軽減まで含めない——ここは自営業特有の落とし穴です。
マイル:「えっ、国保は安くならないんだ……。節税効果を大きく見積もりすぎるところだった。」
ポルト:「そこに気づけただけで、この記事の元は取れたのじゃ。自営業の手取り計算は『税金』と『国保』の二本立て——効く相手と効かない相手を分けて考えるのじゃよ。」
使い分け ——iDeCo・小規模企業共済・国民年金基金・付加年金
iDeCo ——増やす2階(自分で運用)
- 運用商品を自分で選び、成長を狙える(商品の選び方はiDeCoの商品はどう選ぶかで整理)
- 弱点は60歳まで引き出せないこと。売上が変動する自営業にとって、この流動性ゼロは会社員以上に重い制約です
小規模企業共済 ——守りの退職金+いざという時の貸付
- 掛金月1,000〜70,000円(iDeCoと別枠)・全額所得控除
- 廃業・退職時に共済金を受け取る「自分への退職金」。そして掛金の範囲内で貸付制度がある——資金繰りに波がある自営業にとって、この「いざという時に借りられる」性質はiDeCoにない安全弁です
国民年金基金 ——確定額の終身年金(iDeCoと枠を分け合う)
- 将来の受取額が確定する終身年金。増やすより固める性格で、iDeCoとどちらに枠を割くかはリスク許容度次第
- インフレで実質価値が目減りしうる点は、確定額型の宿命として知っておく必要があります
付加年金 ——最小コストの上乗せ
- 月400円で、年金が「200円×納付月数」増える小さな制度。約2年の受給で元が取れる計算になり、コスパで語られる定番。国民年金基金とは併用不可です
順番の考え方(一般論)
- 生活防衛資金(売上変動に耐える現金)が最優先——これがないとiDeCoの60歳ロックが事故になります
- 流動性のある運用(NISA)とロックされる節税(iDeCo)のバランスを決める。新NISAの枠の使い分けとセットで設計
- 守り(共済の貸付・退職金性格)を重視するなら小規模企業共済、攻め(運用成長+大きな所得控除)ならiDeCo——両方使える人は両方が定番
- 掛金は年1回変更可・一時停止も可(停止中も口座手数料は発生)。最初から満額にせず、無理のない額から
執事H:「iDeCoの出口では課税がございます(一時金なら退職所得控除)。そして退職所得控除は、小規模企業共済の共済金などと受け取り時期が近いと調整される場合がございます。両方を育てる方ほど、受け取り順序の設計が効いてまいります。出口の考え方はiDeCoの商品選びと出口課税もあわせてご覧くださいませ。」
MP判定 ——タイプ別の考え方(一般論)
- 所得が高く安定している自営業 → iDeCo満額+小規模企業共済の併用が定番。2026年12月の枠拡大は追い風。出口(受け取り順序)の設計まで視野に
- 売上の波が大きい・開業まもない → まず生活防衛資金とNISA。iDeCoは少額から、共済の貸付制度を安全弁として先に確保する考え方も
- 確実な上乗せを好む → 付加年金(最小コスト)→国民年金基金の順で検討。iDeCoとの枠配分はリスク許容度で
- 法人成りを視野に入れている → 第1号でなくなると枠が変わります。働き方の変化が見えているなら、掛金は柔軟に変えられる前提で設計を
※いずれも一般的な整理です。掛金・商品・受け取り方は、所得・家族構成・事業の見通しを踏まえてご判断ください。
まとめ ——持ち帰る判断軸
- 自営業のiDeCoは月68,000円(会社員の約3倍)・2026年12月施行で75,000円へ。掛金は全額所得控除
- ただし国民年金基金・付加保険料と枠を分け合う。小規模企業共済は別枠で併用可
- 節税効果は所得税・住民税のみ。国保料は一般に下がらない——見積もりすぎ注意
- 最大の制約は60歳ロック×売上変動。生活防衛資金とNISAの流動性を確保してから
- 出口は課税。小規模企業共済と両方育てる人は受け取り順序まで設計する
執事H:「拠出限度額・施行時期・税制は変更されることがございます。お手続きの前に、iDeCo公式サイト・中小機構・税理士等で最新の制度内容をご確認くださいませ。投資には元本割れの可能性がございます。」
※本記事は2026年6月12日時点の公開情報をもとに編集部が整理した一般的な情報であり、特定の金融商品や制度利用を推奨するものではありません。制度・税制は変更される場合があり、国民健康保険料の取り扱い等は自治体により異なる場合があります。投資には元本割れのリスクがあり、最終的な判断はご自身の責任で行ってください。
出典・確認先(2026-06-12確認)
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